2時間目「戦い続け、さすらい続け」

復習:1時間目「もう勇者しないなんて言わないよ絶対」 - 鈴木君の海、その中

 みんなはファミコンって知ってるか?先生の世代では知らないヤツはいないくらい有名なゲーム機だ。ここでみんなに質問するけど、ファミコンはなんでファミコンって言うか、わかるヤツはいるか?そうだな、ファミコンっていうのはファミリーコンピュータを縮めた名前なんだ。

 そもそもファミコンってのはパソコンに対して生まれたものなんだ。みんなも知ってるゲーム雑誌のファミ通はもともとはファミコン通信と呼ばれていたけど、これはインターネットの前に流行っていたパソコン通信に対して名づけらたんだ。そしてパソコンはパーソナルコンピュータを略したものなんだ。パーソナルに対してファミリー。そもそもなぜパソコンはパーソナルでファミコンはファミリーなんだろうか?というのがまずみんなが知らなければならないことだ。

 上の方に引用したyoutubeの動画を見てみようか。これは世界初のビデオゲームって言われるテニスゲームだ。世界初といっても「世間には公開してないけど、オレの方が先にゲームを作ってた」というようなことをいくらでも言えるわけで、何が本当の世界初かなんてのはわからないんだけどな。まぁ、そんな事はどうでもよく、重要なのはこのゲームが作られたのが1950年代だという事だ。ファミコンみたいなチープなゲームが世界初だと思っていたらそうでもないだろ?意外としっかり作られているんだ。それもそのはずでこれを作ったのはのは遊ぶ方も作るほうも大学や研究室のめちゃくちゃ頭のいい人なんだ。コンピュータってのはそういう頭のいい人達のいる場所に置いてあるのがふつうだったんだな。

 そもそもコンピュータの元々の目的は計算機でしかなかった。例えばミサイルの動作を電子上で計算してシミュレーションするのが目的だった。ミサイルを実際に飛ばしたら危ないし、何より費用もかかるだろ?だから少しでも安く、なおかつ本物そっくりな挙動を探すために計算を用いていたんだな。おいおい、そんなイヤそうな顔をするなよ。確かにコンピュータは戦争に利用されたかもしれない、しかしアインシュタインのエネルギー理論だって戦争のために発見されたものじゃない。時代が技術を戦争の道具にしていったんだ。大事なのは技術が善か悪かではなく、それを使う側の人間の問題なんだ。……なんかマジメな話になっちゃったな。

 ともかく、コンピュータってのは現実世界にあるものを低コストで再現するために使われていたという事は覚えておいてほしい。で、そんな風にコンピュータを戦争に使ってたアメリカと太平洋戦争で日本は戦うわけだけど、みんなも知っている通り日本は敗戦するんだな。でアメリカの文化が次々と日本にやってくるんだけど、コンピュータでミサイルの動作を――なんてやったら、また日本は戦争でも起こすんじゃないかと疑われてしまうよな。だから日本ではコンピュータは天気予報とか銀行のビジネスシステムに使われたんだ。つまりサービス面を重視したという事だな。

 これこそが日本とアメリカのコンピュータ文化のちがいなんだ。日本人にとって「戦後」とは第二次世界大戦が終わった後の話だが、アメリカはその後も長い間「冷戦」を続けていたんだな。冷戦とは何か?という事は難しいからここでは省くけど、要するに直接兵隊同士で戦っていないけれども、おたがいに武器を持ったままにらみ合っているという状態の事だ。そんな状態だからアメリカはコンピュータ技術と戦争を切りはなすのに時間がかかってしまったんだな。冷戦が終わったのはいつかはハッキリしないんだけど、1989年ごろと言われている。そのころ日本はバブル景気と呼ばれるお金の流れがものすごく元気な時代で、当然コンピュータもビジネスの中心で大かつやくしていたんだ。

 こういった背景からアメリカでは「パソコン」が生まれ、日本では「ファミコン」が生まれるわけだけれども、それを語るには時間がなくなっちゃったな。おーし、今日はここまで。解散!