その12「血だってNG」

OCG>>ヴァンパイア・グレイス - Google 検索
TCG>>Vampire Grace - Google 検索

 飲み物が何故か「赤ワイン」から「青汁」になっていますね。その秘密はこのモンスターカードの名前にあります。「ヴァンパイア・グレイス」――つまり吸血鬼というわけです。さしずめ持っている飲み物は血液(あるいはそれを模したもの)といったところなのでしょう。つまり、血(blood)も規制対象です。これはすでにみなさんご存知でしたね。

 赤い飲み物がダメという事はワインもダメなのか?と思ってしまいますが、よくよく考えたらキリスト教の儀式においてはワイン(ぶどう酒)をキリストの血に見立てるのだから、ワイン自体が血を連想させるものなのでしょう。*1キリスト教ではこのように血を模した飲み物がOKなので血肉に関する事は比較的緩いですが、ユダヤ教イスラム教は大分厳格です。

レビ記(口語訳) - Wikisource

 私もあまり詳しくは知らないのですが、血肉に関する事は旧約聖書レビ記に書かれていて食材から何から細かく取り決めがあるようです。なんというかグルメ漫画すら簡単には描けない日が来るのでしょう。

OCG>>デッド・シャーク - Google 検索
TCG>>Corroding Shark - Google 検索

 ちなみにこのように出血表現もアウトです。まぁ、単純に考えればグロいから規制という事ですが、別の味方をすると聖書の価値観における「血は命そのもの」という考えから、血を垂れ流す表現はそれだけで命を奪う残酷表現なのだという事が分かります。アニメとかでおなじみの「エロい事考えて鼻血ブー」なシーンとかどうなるんでしょうかね?

痛み分け - Google 検索
Share the Pain - Google 検索

 色を変えても出血表現はダメみたいです。日本ではたしか2000年ぐらいからアニメで血を赤く描くのはNGで、黒っぽい液体として描くようになったようですが、これを見る限り色どころか出血表現自体がアウトである事が分かります。聞くところによるとアメリカではワンピースのクロコダイル戦とかも表現が変わっているらしいです。

カッター・ロボ - Google 検索
Yaiba Robo - Google 検索
赤いペンキで描かれたかもしれないものが、墨汁で描かれたものになってますね。

ポイズン・ファング - Google 検索
Poison Fangs - Google 検索
毒を紫色で表現したっぽいですが、血に見えるので変えられます。

 ケガや戦闘描写だけでなく、ただ単に血を連想させる表現や色自体も規制されてしまうわけですね。ここまで規制された世界にいると、本物のケガ人を見たときににショックで失神してしまうのでしょうか?それとも喜んでしまうのでしょうか?私も血の描写はあまり好きではありません*2ので規制が進もうが一向に構わないのですが、それにより描ける世界というのは確実に狭まります。特に後者二つのように「実際に血かどうか分からないのに血を連想させるから規制」というのは、まるで「実際に18歳未満かどうか分からないのに、18歳未満を連想させたら規制」というのにものすごく似ていますよね。今現在進められている規制の基準とはこういった基準なのですよ。

 今後も引き続き、残酷表現の規制について挙げていきましょう。それでは。

*1:まさかとは思いますが、ワインはキリスト教を連想させるからダメとかじゃないですよね?

*2:園子温の作品とか特に