フェミニズム

 日本のアダルトビデオ(JAV)はなぜ女性を辱めるのだろうか?いや、世界中のポルノを見たわけではないから断言はできないが、海外*1のポルノと比較した時、女性がものすごく受け身というか、楽しんでいる様子がないからである。私が見た海外ポルノ*2では、「ヨガ」的というかなんというか、痛みや苦しみは多少は感じるが、意味のある行為として女性が自発的に気持ちよくなろうとしているイメージがあるが、一方で日本のポルノは女が犯されていて、気持ちよくなるかどうかは男次第な感じなのである。フェミニズム的な観点から「男尊女卑が根底にあるから」と言われそうだが、本当にそうだろうか?

 そもそも日本は男尊女卑だろうか?我々の身近な生活では「女性専用車両」という女性を痴漢から守る車両がある。またその痴漢が起こった場合有無を言わさず即刻逮捕になり、場合によっては冤罪も起こるくらい強行的に男が悪者になる。*3ファッションに関して言えば女性がスカートを着ようがパンツ*4を履こうが白い目で見られる事はないが、男がスカートを履こうものなら何だこの変態はという白い目で見られる事だろう。また、最近では男女ともに「さん」で読むのが当たり前だが、男を「君」づけで呼ぶのは男尊だろうか?上司を「さん」で呼ぶのか「君」で呼ぶのか。*5

 歴史を遡るとどうだろうか?弥生時代には卑弥呼という女性の王がいた、彼女を王にした途端それまで争いばかりだった国が大人しくなったのである。有史時代になると、飛鳥時代では推古天皇という東アジア初といわれる女性君主が出てくる。奈良時代に編算された古事記では、怨霊のように恐ろしいパワーを持ったイザナミ(女神)とビビって逃げるイザナギ男神)の対比。そんなイザナギから日本を任された主神は天照大御神であり、一般的に女性であるとされる。そのアマテラスが引きこもって世の中が大変な事になった時に活躍するのがアメノウズメという踊り子の女神様である。平安時代では日本最古の物語として竹取物語が出てくる。竹取物語のヒロインであるかぐや姫は言い寄る男達を次々と振り、王様である帝をも振る。平安中期になると紫式部という女流作家が源氏物語という54帖もある長編作品を作る。

 テレビではどうだろうか?ドラマ版西遊記でまとめ役ともいえる三蔵法師は男にも関わらず、夏目雅子という女性のキャスティングになる。アニメの主人公の少年役は女性声優が起用される事が多く、またアニメにおいて、この日記の別の記事でも述べているように女性的なシンボルはタブーどころかむしろ積極的に表現されている、そのため女性キャラが主人公の作品が海外と比べても多い。また女性キャラが男にドツキを入れたりする。

 タレントでいえばジャニーズジュニアはほとんどが女顔であり、男らしい顔立ちではない。ノムリッシュなキャラクターデザインも女性の顔が基調である。また山口百恵から始まったアイドル文化というものもある。AKB48をはじめとした女性アイドルグループの乱立だってある。

 キリがないので、この辺でやめにするが、いずれにしろ私の目からは男尊女卑があるようには見えない。むしろ女性を認め、女性の方が立場が上であると言っているようにしか見えないのである。例えば世界には男が勝手に欲情して少女をレイプしたのに、レイプされた少女の方が道徳を狂わしている!と処罰されるような事だってあるわけで。

 では、日本のフェミニスト達は何と戦っているのだろうか?この事を考えるためにフェミニズムはなぜ生まれたかを考えてみる。フェミニズムが生まれた西洋では聖書的な価値観が世の中を支配していた。聖書にはなんと書かれていたか。まず最初の女イヴは最初の男アダムの骨から生まれた。彼女が生まれた理由は男が一人でいるのはよくないという理由。そしてそのイヴは悪魔(へび)の囁きによって禁断の果実を食べ、さらにアダムに渡す。――つまり、男のために生まれた女が人間にとってよくないものに近づき誘惑に負け男ともども楽園を追い出される。セックスのメタファーとも言われるが、いずれにしろこれこそ男尊女卑というものだろう。西洋にはリリスという女の悪魔がおり、一説にはこのリリスはイヴよりも早くアダムと出会い*6セックスしたらしいが、対等である事を望んだ彼女は「下に横たわるのは嫌」といって飛び出す。後にこのリリスフェミニズムの象徴になったんだとか。

 こういった聖書の価値観はユダヤ教(世界人口0.2%)、キリスト教(世界人口33.4%)、イスラム教(世界人口22.2%)に引き継がれているんだから、世界の半数(55.8%)は男尊女卑社会と考える事も可能。さらにカーストによって女性の身分が低いとされるヒンドゥー教(世界人口13.5%)を足せば地球上の約7割の国で男尊女卑だと言える。残り3割のひとつで仏教国タイなどが挙げられるが、ご存知タイはニューハーフ天国である。これは女性に対して劣ったものという認識がないから、普通に憧れの対象として見れるのである。日本のテレビでは普通にオネエが認められたくさん出ている上にアブラハムの宗教もヒンドゥー教も少数派なわけだが、はたして本当に男尊女卑と言えるのだろうか。

 キリスト教徒は男尊女卑ではないという声もあるだろうが、これはキリスト教徒の文化圏(欧米とか西洋とか呼ばれるところ)においてフェミニズムが起こったからである。フェミニズムというのは失われた女性の尊厳を回復させる運動であり、上記の神話の世界観に対する反逆なのである。だからイザナギイザナミが同時に生まれたという神話を持つ日本においては最初から抗議する理由が見当たらないのである。

 日本が男尊女卑の社会に見える理由は「侍」の社会が正に男尊女卑的だからである。日本の侍は色々あって儒教の価値観を推し進めた。儒教は別に男尊女卑の宗教ではないが、儒学者と言われる儒教の教えを考えた人たちはほぼ男で占められている。それは儒教が生活に必要な生きる知恵であり、現実に必要な知識を論理的に考えるという男脳で作られた価値観なのだ。男脳からすれば論理的ではない女脳は面倒くさいだけであり、文字通りお話にならない。儒教は政治の哲学として武家社会で用いられていたようだが、当然女性はそういった侍の政治に関わる事が許されないのである。

 日本には「武士上流男」「女」「底辺男」の最低でも3つの階層がある事を理解しなければならない。日本はローマ・ギリシャみたいな身分がゆるい社会じゃない。サムライブルーなんて言葉があるが、侍の時代は9割が百姓で武士の割合はたったの1割にすぎない。日本人のほとんどは百姓ブルーだったわけで、たったの1割で日本のイメージを語られているわけである。玉の輿なんて言葉があるように女が出世する世界観はあるが、百姓が武士にまで上り詰める事はほとんどなく、岩崎弥太郎だろうが、豊臣秀吉だろうが出世するやつは最初から侍なのである。歴史文献を見ても農民が一揆を起こしたり、隠れキリシタンたちが乱を起こしたりはしたが、女性が男性に対して抗議をした事件など(少なくとも私が見る限りは)ほぼない。

 つまり、日本のフェミニストには「政治に参加できない」という不満がある。フェミニストはたまのこしして相手のクビを切って自分がその地位につきたいのだ。が、この不満は底辺男も持っている事であって、女特有の問題ではない。最近ではセクハラ問題をよく聞くが、その問題の大半がこれは女性だからセクハラされるのではなく、男性と同じ扱いをされるから問題になるのである。例えば下ネタを言われたからセクハラだ!と言ったところで男同士の会話では普通に下ネタが社交辞令となっているケースは多い。私のように下ネタが嫌いな男の方がレアケースである。

 女性の産後復帰が難しいのも、男が同じだけの期間休んだら同じようにハブられるわけであって、女性だから差別されているのではなく、男女共に休むと差別されるという別の問題である。ついでに言うならばこれは俺以外の他の男のものになったんだから女じゃねぇという「ババァ差別」なのであって、むしろ若いかわいい新入社員はチヤホヤしまくるという徹底した「男にはない物を持った女性賛美」があるからこそ、その逆にその価値を失った女性には厳しくなるのではないか。つまり女性を過剰に認めるということは、女性から女らしさがなくなった瞬間差別対象になるのと同義である。

 つまりフェミニストの掲げる政策は最初から崩壊しており、既に社会は平等に扱おうとしているし、女性性を過剰に評価しまくっているわけである。だからこれ以上進むと女性優遇社会ができるだけで、彼女達が口から言っている男女共同だとか男女平等から真っ向からムジュンしてくるわけである。ついでにいえば女性が社会で働くのは昭和からやっていたので、先進国に追いついたんじゃなくて、ただ単に元の状態にもどっただけである。農民の生活にしても女性だけが家でゴロゴロしたり子育てだけしていたわけがなく、畑や田んぼ仕事に手伝わされていた可能性が高い。昔の日本は貧乏だったのだから当然である。むしろ専業主婦として社会で働かなくてもいい、子育てに専念しなさいなんて環境の方が裕福じゃないと不可能であろう。

 また、「世界で日本の女の評価が高い――」みたいな意見をフェミニストが使ってはいけない。なぜなら海外の男たちはアダルトビデオとかアニメキャラとかアイドルとか昭和の女みたいな「日本の男が作ったイメージ」に惚れているのであって、日本の女が自分で作ったであろうヤマンバギャルメイクだとかにはさっぱり興味がないからである。もっと女性自身が世界に向けて自分達のイメージを作っていかなければならないが、日本のフェミニスト従軍慰安婦などに代表されるような反日ありきで日本の男を貶めるのが目的なので、世界という視野がそもそもない。

 話を戻して、AVがなぜ女を痛めつけているのかというと、これは底辺男によるルサンチマンが原因だからだ。男がキモ男で女がやたら美人*7というのも普段手に入らない、お高くとまっているやつを貶めたいという気持ちがなければ楽しめないはずである。女が弱くて守らなければならないものと思っているやつからすれば単なる弱いものいじめの映像にしか見えず楽しめないはずである。ところがこれだけの市場があるという事は日本において普段女に対するフラストレーションがそうとう溜まっているということである。

 長くなってしまったが、私は今現在のAVは文化としては最低ランクだと思っており、あまりにもワンパターンすぎると思っている。女性監督のAVがもっと増えれば、改革はできると思っているし、それを後押しできるのはフェミニズムだけだろうと思うのだが、おそらく僕の生きているうちは不可能であろう。もしそんな環境が作られたら僕はフェミニズムを認めます。

*1:多分アメリカ?

*2:とここで堂々と発言するのはどうかと思うが

*3:ちなみに痴漢の冤罪事件に関しては、訴えた側が証拠を提示し立証できれば有罪になるというような被害者が積極的に裁判に参加する方法が正しく、日本の裁判みたいな容疑者の側がやっていない証拠を出すというシステム自体が問題ありなのであって、被害者や加害者に過失があったのではないかという論点は筋違いである。

*4:下着ではなくズボンの方です。

*5:ジャニーズ事務所は君づけでしたね。

*6:最初の女イヴとは何だったのか

*7:もちろん商売のための整形だろうけど