今更すぎるがゴジラの逆襲を語りたい

 勢いで初代ゴジラを語ってしまったわけだが、この流れで「ゴジラの逆襲」についても語っておきたい。個人的にはこの作品は幼少期から見ていたゴジラ映画なのだが、評価としては50点。好き嫌いでいうと「どっちでもない」という思い入れゼロの作品である。なので、正直な所ちゃんと語れる自身はあまりない。

 

 なんでこんなに低い評価なのかというと、まず「表現」がよくない。前作では動物が○○のメタファーみたいな感じで上品な映像だった。ところが今作は直球の映像表現しかないので単調で深みがない。また音楽面でも、テーマ曲はともかくとして、怪獣出現がシンバルのSEだけで、お馴染みのテーマにある「くるぞくるぞ」的な効果的な使い方がされていない。このため全体的に安っぽいのである。

 

 また、シナリオもいまいちである。

 

(メインタイトル)
サウンドエフェクト(シンバル)とゴジラの鳴き声
・空を背景にテーマ曲
アンギラスの鳴き声

 

(二人のパイロット)
・空飛ぶプロペラ機(カツオの大群を発見)
・モールス信号と女子通信士
パイロット「月岡」と通信士「秀美(社長令嬢)」のカップ
・小林機のエンジン停止
・岩戸島へ救援に向かう月岡
・冒頭からゴジラ登場
・もう一体巨大生物がいて戦っている
・取っ組み合いをして海に落ちる二体

 

ゴジラの同類)
・会議室
・古生物学者の山根恭平博士登場
・アンキロサウルス=アンギラス(恐竜というよりクッパ大王)
・およそ7千万年前~1億5千年前(地質時代)の巨竜の一種(ゴジラも同時代の生き物)
・肉食というねつ造
ゴジラに対して無為無策
・前作の映像を確認(長い)
オキシジェンデストロイヤーという切り札はもう無い
ゴジラはあの一匹だけではなかった
ゴジラアンギラス原水爆以上の脅威
・付近の住民の避難について
・光に敏感=水爆実験のフラッシュバック
・照明弾で海上へおびき出す消極的な対策

 

ゴジラ対策)

・大阪

・月岡と秀美の会話
・空を飛ぶ飛行機
ゴジラらしきものレーダーに確認
・飛行機とフリゲート艦配備
・大阪近辺の地図上にゴジラと飛行機の模型
・四国沿岸にゴジラが来る
・社長の工場近くに出るかもしれない

 

ゴジラ上陸回避)
・昭和の街
・ダンスパーティ
・大阪に警報
・街の照明が落とされる
・海に照明弾が落とされる
ゴジラ出現。首が細長く出っ歯。腕が長い。
・避難する人々
・照明弾へ向かうゴジラ
・一安心する人々
・社長が工場へ向かった。月岡と小林も向かい、秀美は残る。

 

ゴジラアンギラス
・護送車から脱走する囚人たち
・逃走の途中で火災発生、ゴジラがそれに気づく
ゴジラに対する集中砲火
・戦闘機が落とされる
アンギラスも上陸
・社長「照明弾があんなやつまでおびきよせたのか」
ゴジラアンギラスがケンカを始める
・互いに首元をねらってかむ
・スピード感のある格闘シーン
・脇の下からスッキリしていて格闘に特化したゴジラ
・ドタンバタンとワシャワシャ感の戦闘(ハイスピードバトル)
大阪城でのバトル
・首元をかまれて情けない声のアンギラス
・息絶えた所を焼き殺される
・海へ去るゴジラ

 

(花婿が残したもの)
・破壊された大阪の街
・社長「必ず立ち直ってみせるよ。北海道から飛んできた甲斐があった」
・小林は北海道支社へ
・小林「花嫁さんを探しに行ってくる」
・女性「気をつけてね花婿さん」
・人々「わはははは」
・小林の飛行機から漁船へ手紙が投げ込まれる「大漁を祈る 小林」
・月岡と秀美も北海道支社へ
・宴会
・学生時代の友と月岡が再会
ゴジラによって船が被害にあったという情報
・飛行機による海上捜査
・秀美「月岡機直ちに帰還せよ」
・継続する月岡
・秀美「イジワル!」
・秀美と小林
・小林「女の子ってどんなものほしがるんです?」
・秀美「ハンドバッグ」「時計」「くつしたでもいいわ」
・秀美に相手を訊かれてごまかす小林
・小林「遅いな月岡のやつ
・神子島上空でゴジラ発見
・燃料が少ない月岡の元に小林が向かう
・小林が置き忘れた手帳には若かりし秀美の写真
ゴジラを発見する月岡と小林
爆撃機が出動
・空を見る秀美
・人型っぽいゴジラ
・小林はゴジラの後を追いかけ気を引く
空爆攻撃、しかしゴジラには効かない
・火をはいたゴジラにより小林機墜落
・しかし、その衝撃により雪崩が起こる
・ひらめいた月岡は爆撃で人為的に雪崩を起こす
・小林の死を父に伝える秀美。「だけど、たった一つの方法を残してってくれた」
・手帳に残された写真を見る秀美

 

(氷づけのゴジラ
・一時退却で作戦を練る
・氷に埋まって顔と手だけ出すゴジラ
・氷から出てくる
・火薬(ガソリン?)による足止め
・爆撃により再び雪崩を起こす
・息により飛行機を打ち落とすゴジラ
・パンチも当たるようになったゴジラ
・しかし、その間も続く爆撃で起きた雪崩により埋まるゴジラ
・月岡「小林、とうとうゴジラをやっつけたぞ!」
・雪山の島(神子島)と終のクレジット

 

 ・・・・・・大まかな流れは上の通りだが、完全に1作目の焼き直し感が強い。しかも、大阪がメインの舞台だが、決着は北海道と、地理的に見てもなんでゴジラはそんな移動をしたんだ?という感じでリアリティがない。完全に「見せたい映像」があって、それをつなぐために作られたようなシナリオなのである。

 

 聞くところによると、撮影期間3ヶ月らしいので、まぁ、そんなもんだろうなという感じである。もうちょっと丁寧に作ればクオリティは上がっただろうにもったいない作品である。

 

 評価できるのは日本人の好きな映画タイトル「○○の逆襲」の先駆け――みたいな、エポックメイキングなオタク向けの内容になってしまうので、正直ゴジラ初心者にはあんまりオススメしない作品である。

 

 それでも今回あえてとりあげるのは、シンゴジラって本当は「ゴジラの逆襲」を基に作った方がよかったんじゃないだろうか?庵野秀明のルーツってこっちじゃね?みたいな事を思うからである。というわけで前作ほど深い掘り下げは無理だが、語れるところまで語っておこうと思う。