ゲームライター
なんかTGSやってた裏側で、ゲンロン8の一件が進んでいたらしい。
ちなみに、修正された箇所は以下の9つだ。
- 家庭用ゲームなるもの→家庭でできるコンピュータ・ゲーム
- 独自の家庭用ゲームが→ゲーム機的に使われた小型コンピュータが独自に
- ぜんぜん→ほとんど
- ここ(ディスクステーション)→「ディスクステーション」からではありませんが、コンパイル
- しているので、ここでSteamの登録ユーザーは一気に伸びたはずです。→し、ここでSteamの新規登録ユーザーは前年の2.5倍になっています。
- PS2以降、JRPGは数百人の開発チームがあたりまえになって→2000年以降、「ドラゴンクエスト」シリーズでもスタッフロールの人数が百人をこえて
- UNDERTAIL→UNDERTALE
- 図3→図2
- 訳・解題→訳
いいんじゃないかな(興味なし)。なお、ゲンロン8側は「電ファミニコゲーマー」編集部から225箇所の指摘を受け、その内容を公開している。個人的には(色んな意味で)すごいなと思ったが、一部では不服の声が上がっているらしい。
地雷魚氏
『電ファミニコゲーマー』編集部がわざわざ時間かけて225箇所の指摘を送ったにも関わらず、大半を「はいはいワロスワロス」で受け流しているとしか思えない回答に腹が立った。
「ゲンロン8 ゲームの時代」という書籍内の、ゲームの歴史について数十ページにわたって語られている記事には、あまりにも事実誤認が多く、各方面からの激しい指摘が飛び、大きな話題を呼んでしまったことをご記憶の方も多いでしょう。
でもって、電ファミニコユーザーさんが一肌脱いで、60ページほどの記事内にある、200箇所を越える問題点の指摘を著者の方々に提示したのですが、それに対する書籍サイドからの返答がこちらになるわけです。
(中略)
うん。ここまで真摯じゃない返答は、めったに見られるものじゃありません。昭和の時代の役所のようだ。
どちらもゲームライターで、商業でゲームの記事を書いた事があるらしい。彼らは職業柄、文章にもゲームの知識にも強いはずだ。彼らの目からするとゲンロン8の返答には問題があるらしい。
私のような第三者の目には(簡略化されているとはいえ)それぞれの回答に個別の返答を行っているので、雑ではあるが、やる事はやっているように見える。また指摘内容自体が「?」となるものが多い。これについては電ファミニコゲーマーの関係者の方が次のような証言をしている。
ちなみにこれは、いわゆる「編集校正」を元の文章に対して行っていて、このまま読むと事実誤認に思えるから補足しましょうとか、こう言い切るには説明が足りないっすよ的なことがつらつらと書いてあったものです。ゲンロンさん側の見解を尊重したうえで、だったらこことか要確認では?みたいなやりとり
— TAITAI@電ファミ (@TAITAI999) September 22, 2018
で、この表はそのツッコミ部分を抜き出してるものなんだけど・・・、これだとちょっと、その意図が分かりづらいですね。ただ意地悪しているみたい。まぁ、別に正誤表?とかとはちょっと違うっすよってことで。ともあれ、ゲンロンさん含め、関係した皆さまおつかれさまでした!https://t.co/p3FMPlBEly
— TAITAI@電ファミ (@TAITAI999) September 22, 2018
平信一という編集長の人らしい。この225の指摘は「こうした方が見やすくなる」という「編集校正」であって、「事実誤認」とイコールではない。それに対して「今後の編集の参考とさせていただきます。」は、態度はどうであれ間違ってはいない。
むしろ、「大した知識も無いくせにゲーム語るな」という言葉がブーメランになって「電ファミニコゲーマー」が窮地に立たされている。
ゲンロン8に対する批判よりも、電ファミニコゲーマーに対する批判の方が的を射ているように感じる。ちなみに野安氏はこんな事を言っている。
「ゲンロン8 ゲームの時代」において、おまりにも大雑把な、しかも事実誤認が多いと指摘されまくったゲームの歴史が語られたことが、ゲームファンの間で話題になりました。
この書籍、いろいろな大きな問題があったのですが、すべてが悪いことだったかというとそんなことはなくて、いくつかのポジティブな面もありました。その中のひとつが、各方面にいた「寝た子を起こした」ことにあるんだと思います。
テレビゲームの歴史を、すべて網羅できるような知識を持つ人は、この世には存在しません。あまりにも膨大なソフトが発売され、全世界で2億人ものプレイヤーがそれぞれ自分の好きなようにゲームに親しんでいるという現状があるため、「ゲームは、このように楽しまれている文化だ」などと軽々と語れるようなシロモノてはなくなっているからです。
そのかわり、「この限られた分野なら、圧倒的に詳しいぜ」という知識を持つ者が、たくさんいます。「ポケモンの歴史ならまかせとけ」とか、「格闘ゲーム黎明期のムーブメントは知悉している」とか、「家庭用ゲーム機搭乗前のPCゲームの機微なら、すべてわかるぞ」とか、そういう人たちです。
スポーツ全般の歴史を網羅している人はいなくとも、「高校野球の現状についてならまかしとけ」とか、「ドイツサッカーの流れなら理解しているよ」とか、そういった人たちと同じですね。
これらの人たちは、ふだんはその知識を表に出すことなく静かにしているのですが、「ゲンロン8 ゲームの時代」が、あまりに大雑把なゲームの歴史を語ったことを知り、自分の知識とのあまりに食い違いに怒り、あるいは呆れたことにより、一斉に飛び出してきました。「あ。野生のゲーム知識人が現れた!」みたいな感じですね。
「ゲンロン8 ゲームの時代」は、そこに書かれていることが酷かったがために、せっかくの知識を持ちながらも眠っていた人たちを、「そんなテキトーなゲーム史を定着させてなるものか!」と目覚めさせる効果を生んだのです。
私が見る限りでは、「寝た子を起こした」のは電ファミニコゲーマーのように思う。もっと言えば「軽々と語れるようなシロモノではなくなっているからです」と言いつつ自分たちは好き放題言っているという動きに反抗して増えたように感じるのだが。お仲間を守りたい気持ちはわかるが、事実誤認を問題にしている人が事実をねじ曲げ印象操作しようとしているのは頂けない。
ちなみに地雷魚氏はこんな事を言っている。
物凄い腹が立つなんだけど、この人たちに限らず、日本で「ゲームを語る人たち」がコンシューマーゲームばかりしか頭にないのだ。
この「コンシューマーゲーム偏重」、はっきり言って日本のゲーム文化の貧困でしかないし、勉強不足でしかない。
RPGに限らず、アドベンチヤーゲームもシミュレーションゲームも、その他、あらゆるゲームジャンルが、いきなりコンシューマーゲームで生まれたと思っているのか?
実に悲しい事だが、そう思い込んでいる人が多いのも事実だ。
1980年代の国内パソコンゲーム市場によるRPG、シミュレーション、アドベンチャーゲームの受容がなかったら、ほとんどのコンシューマーゲームのジャンルは育っていない。
せいぜいゲームセンターからアクションゲームやパズルゲームが移植されるぐらいだったろう。
そもそも、海外ゲームがいきなりコンシューマーゲームで受け入れられるとでも思うのだろうか?
RPGを例に挙げると『ウルティマ』と『ウィザードリィ』を元に『ドラクエ』を作ったと言われているが、そんなわきゃないのである。
日本のパソコンゲームでRPGがブームになり『ザナドゥ』、『ハイドライド』、『夢幻の心臓』、『イース』、『ソーサリアン』などがなかったら、まずRPGを理解するクリエイターが育ってない。
まず、日本のゲーム評論が「コンシューマーゲーム偏重」という事実は無い。もともとゲームの歴史は偏重されている。例えば98年頃から「遊戯王デュエルモンスターズ」というコンシューマゲームが出てくるのだが、ポケモンの影に隠れて表舞台で語られる事がない。当時のカードゲームブームの中で一番成功して、ゲームボーイカラーとポケステの通信を可能にし、現在のソシャゲの○○レアみたいなムダにレア度を細かく設定する*1とか、アメリカを中心に世界でもそこそこウケているとか個人的に「なんで無かった事にされてるの?」みたいな作品である。
また、ドラクエの話題の後に「夢幻の心臓」が出てくるのはいいとして、「イース」が出てくるのは謎。イースはたしか1987年に出て、86年のドラクエよりもゼルダよりも後発だったと記憶しているが。だからイースのようなRPGに育てられてドラクエが出てきたっていうのは「事実誤認」になるのではないか?普通の記事だったら、「だいたいそんな感じ」で済むけれども事実誤認を指摘する記事でこういう事をやるとハッキリ言って信用できなくなる。
ちなみにこの人「JRPGの基本文法がパソコンゲームにある」って言いたげだけど、JRPGって「セカイ系」と同じ蔑称だと私は認識しているので、それらのゲームをJRPGと表現していいのか疑問。この名称使い出したのって外国人で、ペルソナとかFFみたいな日本独特の本来のRPGとは違うものをJRPGって言うんじゃないの?「anime」みたいな。「私はもうゲームライターを卒業して20年」みたいな事言ってるので知らなかったのかもしれないけど、そこは怒るところじゃないのでは?
これ、メーカーが直接「事実誤認」を確認していたらこんなに大事にはなっていなかったと思う。どちらかというとメーカーはゲンロン8を「許容」していたわけで穏便派だったのだと思う。それに対して勝手に「あいつはキミにとって邪魔だったから殺してあげたよ」とかやられてもヤバいストーカーでしかない。正直全然かっこよくない。
そんな事よりも「ワシらの庭でナニ店開いとんじゃあ!」みたいなヤクザ気質みたいなのが見え隠れして嫌な感じである。ゲームライターがそんな感じで自分たちに都合のいい文章ばかり残してきたのかと思うと呆れる。
テレビ朝日が中国の情報が欲しいばかりにズブズブの関係になっているように、ゲームライターの言っている事もまるごと信用するのは危険だ。「野生のゲーム知識人」には頑張ってもらいたい。私ももう一度ゲームの歴史について語っていこうかなという気になってきた。
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