プロ

 プロという言葉はいずれ死語になるだろう。

 鳥人間コンテストってずるいコンテストである。機体の開発もパイロットの選出も最初からコネである程度決まっている。全くの素人が挑んで記録を出せる世界じゃない。それは、この競技が数学的・機械的で、人の感情というものとは無関係に採点されるからだ。

 一方で世の中には仮装大賞というコンテストがある。こちらはどんなにバックに企業がついていて、ものすごくお金をかけていても一番になれるとは限らない。ものすごく低予算で、ものすごくくだらないものであっても面白かったら合格できる。そして何より、仮装大賞の世界には「プロ」なんてものは存在しないという事だ。

 フィギュアスケーター織田信成は「プロ」に転向したが、まだ「プロ」になっていないオリンピック選手が織田よりも実力が無いのかというとそうではない。プロというのはどっかの企業に所属していかいないかというような「職業」的な問題であって、実力とは何ら関係がない。

 例えばZUNという元プロのゲームクリエイターが同人業界で稼いでいたりするが、世の中にはゲーム会社に勤めていても東方プロジェクトより儲けが少ない会社だってあるだろう。アマチュアだから金が稼げないという世の中ではなくなっている。

 ゆるキャラにも「プロ」という概念はない。市非公認のゆるキャラふなっしー」がテレビとかコロコロコミックとか独自のルートにこぎ着けられたのも、特定の所属になかった事が重要である。もちろん広い視点で見れば公務員であるくまモンなんかの方が安定しているんだろうが、人気とか単純売り上げで言ったらふなっしーだって負けていないわけである。

 なので、「プロには勝てない」って特定の業界においては言い訳だよなぁと思っていたりする。