VTuber2

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 VTuberというものについて、わかってきた事があるのでメモ。

 

 VTuberの良いところとして「視聴者との距離感が近い」「コメントの受け答えによる双方向性がある」「ニコ生文化を受け継いだ」みたいに言われていて、VTuberについて熱く語る人ほどこの傾向が強い。個人的にそうか?と長いこと疑問だったが、これについてはどうやら自分が「にわか」なのが原因だった。

 

 私はキズナアイとかゲーム部辺りから入ったわけだが、これらの動画はYouTuberがやってる事を3DのVR技術を使ってやっているものだった。*1けれども、VTuberファンに影響を与えたのは「にじさんじ」というグループらしく、そこら辺で齟齬が起きている気がした。

 


10分で分かる月ノ美兎【にじさんじ公式】

 

 「にじさんじ」については詳しくないのであまり書けないが、主に「生配信」をメインにして活動しているグループでスパチャでウン百万円稼ぐ化け物コンテンツらしい。ここは「Live2D」という二次元の技術の(何と表現したらいいのかわからないが)アバターを使うのが主流だったらしく、キズナアイ的な3D空間とはちょっと入り口が違う。で、なんか、ライブ配信だから起こるその場で視聴者と一緒に生まれた感動みたいな物があったらしい。

 

 そういうコンテンツがあるのは結構なのだが、これはキズナアイとは別の意味で誰でもできるやり方じゃないというか、企業じゃないと絶対に無理なやり方なのである。

 

support.google.com

 Super Chat を利用するには、次の要件を満たしている必要があります。
  • チャンネルが収益化されている
  • チャンネル登録者が 1,000 人以上いる
  • チャンネル所有者の年齢が 18 歳以上である
  • チャンネル所有者の居住地が提供地域に含まれている
    注: Super Chat は、年齢制限付き、限定公開、または非公開の動画では利用できませんのでご注意ください。また、チャットが無効になっている場合も利用できません。

  まず、スパチャの解禁条件に「チャンネル所有者の年齢が18歳以上」とあるが、これって要するに大人じゃないと使っちゃいけないシステムなわけで、配信者の設定が中学生、高校生なのに解禁されているところは「年齢偽っている」か「企業が運営している」かのどちらかで確定だと思う。*2

 

  なので、確実に企業運営である。それを踏まえると明らかに「にじさんじ」はレベルが高い。オーディションをやっているらしいけど、「素人」って言葉が一番似合わないところだと思う。特に「月ノ美兎」は「バーチャルさんはみている」の中で一人だけ異質だったというか、前後の特番と合わせて考えても、トーク力とアドリブ力 がものすごく高い。それに加えてツボを抑えつつも落ち着いたキャラクターデザインなんだから、そりゃ強いよなと思った。理数系どうのこうの言った後でこういう事言うのもなんだけど、本人の力の120%の力を出している。VTuberは見た目とか、外側の力を借りる事ができるのでこの表現もそんなにズレていないと思う。

 

  で、問題の一つ目として、そもそもこのライブ配信という形態自体が万人向けじゃない気がしている。これは仮説なのだが、一般人が見るVTuberとVファンが見るVTuberの境目が「月ノ美兎」なんじゃないだろうか?仮に配信者が聖徳太子的な耳を持っていたとしても口は一つなわけで、「双方向性」といっても同時にやりとりできる人数には制限がある。視聴者が少ないうちは成り立つけれども、視聴者が増えたら「オレのコメント拾われなかった」という事が多くなるわけで、そういう人達を相手にしていたら大きくはなれない気がする。*3ヒカキンとかが画面からこっちを見ながら作業しているところなんて想像できないし、フィッシャーズなんてVTuberでいうところのコラボみたいな仲間でわいわいやっている動画という印象しかない。YouTubeのゲーム実況のライブ配信とか見る限り、コメントはたまに拾われる程度で、双方向性を求めるのはそもそも正しいのか?という疑問がある。別に楽しみ方は人それぞれだが、「身近さ」だけが売りだと「地下アイドル」的な何かなので、一般の目につくところへ出て行ったらそりゃキモがられて避けられるよなと思った。

 

 問題の二つ目は後発のプロジェクトのほとんどが、にじさんじをナメすぎていた事にある。さきほども言ったように120%の実力を出してあの人気な以上、配信者本人に求められる実力はかなり高くなっている。ところが後発の人達でそこまで実力が出せる人材というものがおらず、60%80%しか出せていなさそうな現状がある。これは技術力から「素人」でも出来ると勘違いしてしまっているところが原因なんじゃないだろうか?

 

 双方向性はビジネスというよりも「サービス」の側面が強いんだから、そりゃ「ファン」ならそこが魅力だと主張するはずだ。でも、ファンって基本的には「一般人」の素人なわけで、一般人の意見をそのまま聞く運営というのもスゴいけどダメな気がしてきた。初音ミクの時は野生のクリエイターが集まってくれたけれど、あれはミクに何でもさせられたから可能なわけで、VTuberみたく「生身」を感じさせるものには逆にクリエイターがひっつきにくいわけで、野生のプロみたいなのはむしろ来ないので同じパターンは使えない。

 

 話が長くなったが、「キズナアイ」と「にじさんじ」ってそもそも別ジャンルだったんじゃないか?と思っている。今となってはLive2Dを使ってYouTuberみたいな動画を撮るVTuberが出てきたり、にじさんじ自体が3Dモデル作ってもらったりして境界がごっちゃになって、それが「バーチャル」というジャンルがいまいち掴みにくいものになった原因のように思う。

*1:少なくとも私が見ていたものは

*2:てかわざわざこういう規約設けてるって事はさ、若者はこういう稼ぎ方しちゃダメって事だと思うんだが。

*3:スパチャにしても預金全額振り込んでくれる人なんていないわけで、石油王が客に来ない限りどんどん安くなりそう。