中国人はバカじゃない

前提:メイドインジャパンの秘密 - 鈴木君の海、その中

 中国製は第二のメイドインジャパンになれなかったという話題をしたまま放置しておくと、あらぬ誤解を受ける可能性があるので、この話題に付け加えると中国人はバカじゃない。

中国、学力世界一でも自己満足なし - WSJ
PISAによると上海の学生の学力は初登場以来、トップをキープしているらしい。なぜ中国としてでなく上海だけの参加なのかは気になるが、いずれにしても中国が頭のいい国なのは事実らしい。

 しかし中国人たちはこの結果に酔いしれてはいない。

 上海の生徒が世界の他の諸国や都市を圧倒したにもかかわらず、中国人たちは自国の教育システムに批判的な向きも多く、システムがあまりに硬直的で、機械的な暗記に集中し過ぎていると指摘している。

 中国のツイッターミニブログ「微博」のあるユーザーは今回の調査結果について、「これは中国の生徒が最も賢いことを意味しない」と述べた。

 上海で育ち、現在は米国に住んでいるJoan Wangさん(37)は「われわれは詰め物を入れられた北京ダックのようにがりがり勉強して育った」と述べ、「中国は米国に大勢のITエンジニアを送っているが、自前のスティーブ・ジョブズ(米アップル共同創立者、故人)を1人として輩出していない」と語った。

(中略)

 中国の学校カリキュラムが機械的な暗記中心であるとの批判以外に、多くの親は教育システムが激しい競争を生み、有意義な学習の妨げになっているとも指摘している。

素晴らしい!テストの順位よりも、自分に何が足りないのかを自覚し、決して結果に満足せず努力する。これこそ勉強だろう。これこそ頭がいいという事だ。物事を理解した人間の発言だ。子供たちの学力調査をまるでダービーの順位予想のように見て、勝手に一喜一憂した挙句、負けた理由をゆとり教育という国の政策に責任転嫁し、自分は勘違いだらけのウンチクを並べ立てるどこぞの自称エリートのバカどもとはわけが違うのだ。

 なぜ中国人の頭がいいのか。それは文化的に表意文字が基本言語だからではないだろうか?中国語というのは表意文字の文化である。表意文字とはカンタンに言えば、文字自体に意味があるという文化である。例えば「龍」はドラゴンの図が記号化され、文字になっている。だから我々は龍という文字を見ただけでそこにドラゴンの姿を見る事が出来る。こういった文字は一つ一つ形が違い、意味も、音の出し方も違うのだから、人と会話したり文字を読むためには暗記が重要なのである。一方の日本語は表音文字を先に覚える。「あ」とか「い」とか文字自体に意味はない。このような文化では表意文字ほど暗記を重視する必要はなく、むしろ、「ゆらゆら」とか「ぷかぷか」みたいな音の組み合わせで相手に伝える事も可能になる。ほら日本って中国に会うまで漢字って無かったし。……違うか。

 しかしそんな頭のいい中国人がなぜメイドインチャイナのイメージを払拭できなかったのか。それは上記のJoanさんの「中国版ジョブズを輩出していない」という発言にもつながる。頭はいいのに「生産業はダメ」……なんでこんな事になってしまったのか。実はこれにも「思想」といったものが関わってくる。中国人が生まれついた時から身につけた価値観がメイドインチャイナを生み出してしまっていたのである。

 メイドインチャイナの秘密、それは「儒教」である。

つづく