マンガ・アニメはヤマト文化

 日本を代表する文化といえばマンガ・アニメ*1であり、これがクールジャパンを担っている事は間違いない。そしてカラオケがkaraokeとして世界に広まるように、mangaやanimeも日本発祥の文化という事になる。だが、ここでさらに踏み込んで考えてほしいのは、この文化はどの「民族」発祥の文化か?という事である。

 私はかねてから疑問に思っていた事がある。クリエイターを目指す人間なら一度は考える疑問だ。それは日本のオタク産業において主力企業のほとんどが都会寄りで、しかも西日本の方が強いという事である。

 まず職人の町「京都」には「任天堂」が存在する。スーパーマリオはリオオリンピックの閉会式のトリでアベマリオのフリとして出てきたが、世界的なキャラクターとなっている。クールジャパンを担うコンテンツの一つだと考えてよいだろう。アニメ業界には涼宮ハルヒで有名な「京都アニメーション」が存在する。ここはKEY3部作である“AIR”、“KANON”、“CLANNAD”を高いクオリティで再現した事からオタク達から神扱いされている。

 そのKEYが所属するビジュアルアーツも「大阪」にある会社だ。KEYと並ぶ美少女ゲームメーカーであるLEAFのアクアプラスもやはり大阪だ。葉鍵以前に流行していたアリスソフトチャンピオンソフト)も大阪にある。アリスソフトは設立当初は奈良県*2にあったらしいが、ここも充分西側である。

 美少女ゲームの総本山が西側という事は、どういうわけか美少女ゲーム原画家イラストレーターとして使うライトノベルも西日本の影響が強いことになる。わかっている範囲だけでも「灼眼のシャナ」や「涼宮ハルヒ」でキャラクターデザインをした「いとうのいぢ」は兵庫県出身で、「ゼロの使い魔」の「兎塚 エイジ」は大阪府出身だ。オタク達が「ぶひぃいいいいい」と萌えているのは西側の文化という事になる。

 ビデオゲームも無関係ではない。ロックマンストリートファイターで有名な「カプコン」は大阪に本社を置いている。ドラゴンクエストで有名な「堀井雄二」は兵庫県出身で、「ICO」や「ワンダの巨像」を手がけた「上田文人」も兵庫県。ちょっと違うかもしれないが、メタルギアシリーズの小島秀夫は東京出身だが、大阪や兵庫に移り住んだ経験がある。

 肝心のマンガが全然出ていない気がするが、漫画家は色んな場所から生まれているので判断が難しいのである。だが、歴史を遡るとやはりマンガも西側から生まれた可能性が高い。


11:15
夏目「マンガの世界では伝統的なね、関西から――出てきたっていうのがね」

 そもそもマンガの神様「手塚治虫」が兵庫県出身である。


手塚「まぁ、あんまり東北の人からね、その、出る人ってのは少ないんですよね」
荒木「石森章太郎先生!」
手塚「う〜ん、だからまぁああいう程度のもんでね」
荒木「あ、宮城県……」
手塚「だからちょっとその後を継ぐ人としてさ」

 手塚の上記の発言はいろいろ誤解を生みやすく、石ノ森や地方をバカにしているのか!?と一部で物議をかもし出した。だが、注目してほしいのはそこではなく、なぜ東北出身のマンガ家が少ないのかという事である。もしもマンガが日本人のDNAに刻まれた伝統的な文化であるならば、このような地域格差など生まれず、紙がなくても流通がなくても地面にマンガキャラをえがいていないとおかしい。仮にディズニーの「コミック」が原点で、海外がルーツだとしても、マンガには日本独自の文化があり、それがcomicとmangaの違いになったはずだ。mangaを作り出したもう一つのルーツは何なのか?……薄々勘付いている人もいるかもしれないが、マンガはかつて「弥生人」がいたとされる場所において発展している文化なのである。

 このブログでは弥生人縄文人の子孫であるといっているので、日本人が縄文人の子孫であるというスタンスだ。だが、ネット上には縄文人の子孫であり「大陸人とは別人種、別民族」という意見があり、過激なモノになると大陸人の血が濃いやつら(Y染色体O系統がそうだとされる)を追い出そう!縄文は美人、弥生はブサイクなどというアレな事を言い出す。大陸から日本は切り離すべきだ!とでも言いたげである。政治や個人的な思想ではそれでもいいかもしれないが、歴史や文化を見る限り大陸の存在なくては「日本」は語れないのである。*3

 とはいえ、縄文・弥生の定義は紛らわしい。弥生人が「弥生土器を作った人」と「土井が濱人骨の人」と「弥生時代にいた人」と区別しづらいため、私は単純に形質と文化などから本州にいる8割の「ヤマト人(ヤマト民族)」とそれ以外の「続縄文人アイヌ琉球)」で分けてみたい。そしてこのうち、「ヤマト」の人間に強く現れた形質がある。それが「蒙古ひだ」だ。

 突然だがAとBの2つの「目」のパターンを用意した。実際はもっと多様な目の形があるのだが、ここでは問題を分かりやすくするためにこの2つにした。上の二つのうち、どちらが日本的かと言ったら多分Bになるはずだ。では、AとBの違いは何かというと「蒙古ひだ」があるかないかなのである。よくある誤解だが、蒙古ひだは下まぶたではなく、上まぶたに存在する。目頭の赤い部分が見えていたら全く無いというわけではない。Aは平行二重といって目頭の上から二重になるのに対し、蒙古ひだがあるBのような場合は線がひだとかぶり、奥二重のように見える。片目の形も左右対称にならないため、やや寄り目でツリ目のようになる。*4モンゴロイド特有のものであり、ネイティブアメリカンであるエスキモーだとかヤノマミとかにも存在する*5。もちろん、キムタクにも福山雅治にもある。また、これもよくある誤解だが蒙古ひだと一重はイコールではない。実際に私は蒙古ひだも二重もある。日本にいる8割の目は一重というわけではなく、この蒙古ひだが8割だと考えられる。そしてこの蒙古ひだがある人とウィンクがヘタな人は一致するはずだ。

 整形技術が進んだ事や、西洋の顔が美とされるようになっているので、蒙古ひだ=ブスみたいなイメージができているが、これは間違いである。例えば子供に観られる「どんぐりまなこ」は蒙古ひだがないとそもそも成り立たない。実際、蒙古ひだは若いうちに存在するが、歳を取ると自然になくなっていく。だから整形で取ってしまうとかえってブスになる可能性が高い。それどころか蒙古ひだが上まぶたを支えているがために目が老けないというメリットもある。アジア人は欧米人に比べると見た目が幼いなどと言われるが、その要因の一つが蒙古ひだにあるわけである。*6本当は子供の目の絵で説明するのが分かりやすいのだが、面倒なので、各自ホームアローンの主人公の目と芦田愛菜ちゃんみたいな子役の目の違いをググって調べてほしい。

 蒙古ひだのあるなしは初期のディズニーや手塚治虫の時代は大して意識されなかった*7が、近年ではハッキリと違いが生まれている。*8私はアラジンや101匹わんちゃんの登場人物を見て目がイってると思っていたが、逆に海外の人間からしたらやたら目のデカいアニメキャラも目がイっているように見えているはずである。黒目の大きさは人種によって違うなんて話は聞いた事がない。それなのに、なぜ日本のアニメキャラは目がデカいのかと言ったら、Bタイプのように蒙古ひだがあるために目の幅がせまく、白目の見える範囲が狭まり、結果的に黒目がデカくなるのである。最近は目を大きく開いた上に黒目もコンタクト入れて大きくするみたいなリアル二次元キャラみたいな目を作る人がいるが、非常にグロテスクである。

 また目だけでなく、顔全体の形質にも注視する必要がある。マンガアニメキャラは鼻が小さい事がほとんどで、それはつまり顔全体の凹凸が少ないという事である*9。そして日本人は正面顔ばかりにこだわってしまうが、重要なのは「横顔」である。マンガやアニメの横顔で一番多いのは、こけしみたいな丸々した「扁平顔」か、鼻がやや高くなりその下の口も目の位置よりも飛び出しているような妙な顔――私は「子犬顔」と読んでいる――の2つである。前者は凸凹した鬼の顔との対比で語られる平安貴族の顔そのものであり、後者は出っ歯な弥生以降の人骨そのものである。

 とはいえこれらの形質の違いだけでは、人種的な違いだけなので、文化にまで踏み込んでいるとは言えない。だからアイヌ琉球はなぜマンガを生み出さなかった?という事を考えよう。縄文や弥生(続縄文)とヤマトの最大の違い、それは文字を持っているかいないかである。縄文人が文字を持っていない民族である事は有名で、日本語のカナも大陸から伝わった「漢字」がルーツである。そしてこの漢字こそがマンガ的キャラのルーツなのである。

 漢字というのは学校で習う通りに、象形文字から出来た文字であり、現実にある映像を記号化して分かりやすく伝えるためのものである。ここでようやく手塚治虫が出てくるが、手塚はこの映像の記号化というのをマンガに織り込んだ人間なのである。

 手塚は自分の絵を、こうした表現類型や記号的表現の順列組み合わせのようにみなしていた。いってみれば漢字の構成のように、だ。漢字は、ヘンとツクリがあり、サンズイがあれば水に関する漢字というように、おのおのの部分の意味の組み合わせで全体がわかる。しかも、漢字の大本は象形文字、画像的な記号だった。漢字は、その基礎的な記号群の意味を知っていると、あとは組み合わせで意味やイメージをつくることができる。

(中略)

 要するに手塚はマンガの絵を、無意識に漢字とおなじように考えたのだと思う。彼の記号に分解できるマンガ絵の手法は、漢字を解する日本人にとって受け入れやすい手法だったはずだ。だからこそ多くの後継者がその組み合わせを学び、多少絵は下手でも話を展開することができた。そして話や発想が面白ければ、読者は喜んで読んだのだ。

(「マンガの描き方 手塚治虫 解説――手塚マンガと漢字のあやしい関係 夏目房之介」より引用)

 漢字文化がマンガの元なら中国人や韓国人はなぜ描けないんだろう?と疑問だったが、彼らの文化を知って疑問が解けた。まず韓国人は新聞だろうが、書籍だろうが、ハングルを使っている。ハングルは表音文字であり、見ただけで意味が分からない。中国人もさすがに画数が多い字は面倒だと感じたのか簡体字を主流にしてしまった。見ただけで意味が分かるから漢字はすごいわけで、簡体字にしてしまったらその長所がなくなってしまう。つまり、大陸ではとっくのとうに漢字らしい漢字は捨てられていて、在りし日の漢字を一番強く残していたのが日本だったわけである。

 しかも、その漢字をアレンジする能力も日本人は長けていた。「働」という漢字は日本人が作ったらしい。元々中国では「動」という字が働くを意味していた。だが、日本人は人へんと動くを「組み合わせ」る事によって新しい漢字を生み出した。文字だけでなく、「二次熟語」も明治時代の日本人が作って、大陸人が学んだらしい。

日本ではそれまで無かった概念の哲学、社会、社会主義、経済、科学などを始めとして、膨大な熟語が作られました。いくつかの例を挙げてみましょう。
国家、思想、国際、学校、学生、伝統、侵略、意識、現実、進化、理想、常識、改革、解放、闘争、運動、進歩、民主、同志、理学、物質、元素、分子、引力、電気、主観、客観、定義、命題、前提、演繹、帰納、郵便、銀行、概念、階級、社会科学、支配、批評、観念、唯物論、唯心論、印象、文明、交通、鉛筆、演説、会話、計画、原則、危機、情報、環境、化学、信用、王道、道場などなど。

中国語の二字熟語の7割は日本渡来 | 葉巻のけむり 〜高田直樹ブログ〜

 日本人が作るキャラもおんなじだと考えられないだろうか。西又葵の絵も、ロックマンの○○マンたちも、基本的なパーツは数パターンしかないが、記号の組み合わせによって新しいものを作る。そしてそのデータベース化された情報を見る方も理解できる。これは「非儒教文化圏」に「漢字という象形文字由来の文字」が来たから生まれた文化ではないだろうか?だからマンガアニメはヤマト文化と言っていいのではないだろうか?

 また、大陸から入ってきたのは文字だけでないと考えられる。次の目を見ていただこう。

これは、アニメキャラにありがちな目の描き方である。あまり描きなれていないので雑な線で申し訳ない。念のため言っておくと右目。左が目じりで右が目頭である。ネット上にはアニメキャラの特大壁紙みたいなのが転がっているので、それを拡大してもらった方がわかりやすいかもしれない。

 注目してほしいのはまつげ。濃い線でベタ塗り。なぜ毛らしく一本一本をえがかないのか。まぁ、手間がかかるし、ゲジゲジみたいになるからかもしれないが。アニメの壁紙を見て気づいたのだが、この線は「毛筆」の線なのである。日本人なら習字や書初めでハネだのトメだのを習うが、末広がりが美しさの基準である事も習うだろう。まつげを毛筆でえがくことでベタ塗りでも毛の表現である事がわかり、文字を書くのと同じ技術だから手早く描ける。まつげは目の形と違ってメイクアップに入るので、その民族の美意識がダイレクトに反映される。だから末広がりなまつげに安定感を覚える。ちなみにハングルは直線か丸が多く、末広がりにできるナナメの画がチャ行の文字のみで、それですら広げすぎると美しくなくなる。ので、当たり前だが、マンガやアニメが韓国起源である可能性は低い。

 最近は引用したり、脱線したりでムダに記事が長くなってしまう傾向にあるが、言いたい事はただ単純に日本文化は日本だけで成り立ったわけでも、海外の文化をそのままパクったわけでもなく、もともとの価値観と新しいものが出会って融合して生まれたという事である。ネトウヨはオタク層とかぶっているらしいが、それに対して素直に納得できないのは、「おまえら自己否定をしていないか?」と思ってしまうからである。少なくともオタクの大半は縄文系には見えないわけで。現在の韓国人や中国人は上述の通り、漢字を捨てたのでマンガやアニメを生み出せる土壌がなかった。だからバカにするのはある意味では筋が通っているが、一方で「俺たちにとって大陸はジャマなだけ。日本人は元からすごかった!」というのも何か違う。それは正しい日本の姿なのだろうか?

 さて、ヤマト民族がクールジャパンを担っている事は分かった。では縄文はものづくりが苦手なのか?実は縄文の地に根付いたものがある。それは「映画」である。沖縄には映画際がある。そして、神奈川にもある。この2つの共通点は何だろうか?一つはアメリカ基地、そしてもうひとつは海である。神奈川はサザンみたいな湘南のイメージで、沖縄はビギンみたいなマジメなイメージもあるが、一方でオレンジレンジみたいなチャラい感じのやつもいる。そして世界を見渡せばイタリア人やギリシャ人、その他ラテン系の人々を見れば分かるとおり海の民はチャラい。それはこれまでに私が解き明かしてきた縄文人のイメージとも重なるのだ。

つづく


2020/5/16 追記
 更にこじつけるならば庵野秀明山口県長州)出身。信じるか信じないかはあなた次第です。
 あと中国は思っていた以上に「オタク」がいたみたいで、株式会社Yostarみたいなところができるし、VTuberにものすごく興味を持っているっぽい。中国人の一部なのか全体的にそうなのかわからないから断言はできないけど、オタクと漢字文化の親和性って高そう。

*1:……ゲーマーとしてはホントはこれにゲームを加えたいが、今の業界を見るにいずれそのシェアを海外に奪われてしまうだろう。

*2:wikipediaによる

*3:だから世界史から日本を見る必要がある。

*4:ちなみに垂れ目は下まぶたの影響だと考えられるので蒙古ひだは関係なし。

*5:ホルスの目を見る限りエジプト人は少なくともアジア人ではないようである

*6:日本人にロリコンが多い要因の一つでは?とも考えられる。

*7:そもそも手塚は海外が舞台の作品も多く人種的には白人を描く事も多かった

*8:ちなみにディズニーはリロやムーランを見る限りモンゴロイドにはちゃんと蒙古ひだをつけています。

*9:ここでも手塚は例外になってしまうが