バーチャルさんはみている第05話感想

 色々と調べたい事があったので、「バーチャルさんはみている」の5話を見てみた。基本的な印象は第1話を見た時と変わっていないが、色々とわかってきた事があるので、そこをまとめてみたい。

 

 まず作品の評価はやっぱりクソアニメだと思う。「VIRTUALWARS」は世界観が意味不明。ゲーム部なのにゲームの話題なし。他のVTuberのネタしか話題にしないという狭さ。「委員長、3時です。」は完全に自分の世界に入っちゃっているし、「てーへんだ!アカリちゃん」は単純にうるさい。「バーチャルグランドマザー」は大御所にピン芸人みたいなスベリ芸をやらせるし、「聞いてよしすたあ!」はオチがよくわからなかった。と、こんな感じでdisる事しかできない。*1最後のパートはアドリブらしいけど、全員の発言の時間が均等で、明らかに気を遣っているのがわかる。予定調和感があって、これってアドリブというよりノープランなだけじゃんという印象。「アニメじゃなくてコント」とか言う人はコントを作っている人達に対して失礼なので謝っていただきたい。

 

  個人的に一番のマイナスは字幕(テロップ)のウザさ。やたらと文字がデカく自己主張しまくりで、人物の頭とか手振りとかにもろにかぶり、画面の情報を削ってしまっている。しかも、面白い発言を強調とかじゃなくて、VTuberの滑舌が悪いのをカバーするための「セリフ」として表示してしまっているので、やたら長い。例えるならばお年寄りがインターネットのサイトを見るために文字サイズを最大にしているような鬱陶しさ。

 


#027岡田斗司夫ゼミ特別編「岡田、ハルヒ観たってよ~涼宮ハルヒの憂鬱からエンドレスエイトまで~」

37:02~(演技の話)

 で、この「ミサイル!接近します!」これが動きなんです。ミサイルが接近しているっていうのを、バカにでもわかるように見せるのが動きです。動きは見るもので、演技は読むものです。演技はその通りのことをしていないから、見てる人間が解釈して読む必要があるんですね。

 動きっていうのは解釈の必要がないです。「ミサイル!接近します!」って怒鳴ったら、だれが見てもパニクってるのがわかると。しかしこれを演技でやったら、「ミサイル接近します――」っていうふうにつぶやくかもわかんないし、「……ミサイル」まででやめなきゃいけないかもわからない。それは見ている人が緊迫感を読み取らなきゃいけないから、すごく難しくなっちゃうんですね。

 

  「ケリンスレイヤー」を見ていてきづいたんだけど、元々のキャラを変えられないから「動き」の方で演技しようとしている。ただ、この「動き」なんだけれども、先ほども言ったように字幕が邪魔だし、VTuberの衣装自体がゴテゴテしすぎているため、あんまり見えない。アニメキャラも飾りがついた衣装を着ていたりするけど、あれは手描きだから重力を無視した生理的に気持ちいい映像というのが作れる。VTuberみたいに3Dの物理演算されまくっている*2と、そういう気持ちいい映像というのは作りづらい。そのため、動いている割には何も伝わっていないという状況が生まれている。

 

 一方でわかってきた事もある。「ひなたちゃんは登校中」というのが、日常の風景がゲームのステージのように見えてしまうという「ゲーマーあるある」をネタにしていた。

 

togetter.com

  これって要するにVTuberの日常風景がやりたいんだろう。そう考えると「バーチャルさんはみている」は全編を通して背景に力を入れている。この番組がやりたかった事って「たまごっち星」なんだという解釈が自分の中で成り立った。

 

tamagotch.channel.or.jp

  「たまごっち」を知らない人のために説明すると、「たまご(生命)」と「ウォッチ(時計)」を掛け合わせたおもちゃで、たまごから生まれた生命体を育てていくゲーム。時計機能と連動していて、ある程度の時間が経つと「お腹が空いたー」と向こう側から呼び出しを食らうので、そのたびに面倒を見るみたいな感じ。マメに世話をするとかわいいのに進化するが、ズボラだとたらこくちびるとか、足がたくさんみたいな変なやつになる。で、当時の携帯端末はポケベルレベルだったので、画面に表示できる情報が少なく、背景は存在せず、画面内の情報はほとんどキャラクターを表示するために使われていた。*3……ここまではそこら辺の一般人でも知っている人はいるかもしれない。

 

  このたまごっちには裏設定があって、たまごっちは宇宙からきた生命体(要するにエイリアン)で、彼らの惑星はそれ自体が目とか口とか持っている巨大な生命体で、独自の文字や、てんしっちデビルっちみたいな概念とか、こんな施設があるよーみたいなものがかなり細かく設定されているのである。*4

 

  で、これをVTuberに当てはめると、VTuberって一部を除いて出自不明だけど、今回の作品で、「Vの国からぼくらのためにきたぞ」みたいなのがやりたいんじゃないだろうか?

 

  自分の中でキズナアイがなぜ本編に出てこないのか不思議だった。一部では台本読んで仕事を蹴ったという話もあるけど、個人的にはVTuber界の手塚治虫だと思っているので、汚れ役だろうと大役だろうと、片っ端から「それ出来ます!」って言って参加すると思っていた。少なくとも歌には参加しているわけだから、最終回のアドリブパートに顔出しして、主要キャラに「わーい!アイちゃんだー!」とか喜ばれている光景が容易に想像できる。

 

  が、今回のたまごっち星解釈により、次のような推測ができる。キズナアイは基本的に白い背景の中にいる事が多いが、これはキズナアイがSiriなんかと同じ用なデジタルの存在であり、現実世界のキャラではないというのが大きい。なので、バーチャルさんはみているみたいな「実写寄りの背景を描く作品」には、「世界観が違う」から出られないのではないだろうか?例えると「私デジモンなので、たまごっちの世界には行けません」みたいな。*5

 

f:id:sudzuking:20190207172117p:plain

図1:「バーチャルさんはみている」のアンケート結果

 

 今回一番知りたかったのがアンケート結果なのだが、やっぱり低かった。他のアニメの評価を知らないので、アニメとして高いのか低いのかはわからないが、バーチャルキャスト関連の番組をここ一週間見てみたが、ここまで低評価がつく事はなかった。*6何でこんなに低い評価なのか考えたのだが、個人的にはアンケート表示のタイミングが気になった。

 

 この番組は前後にカウントダウン特番みたいなのをやるのだが、そこのゲストがそこそこ豪華で、これ目当てに来ている人もいると思う。他の高評価なV番組は、ゲストが帰って、声が聞こえなくなって、エンドカードが表示されて人が減ってからアンケートが実施されるのだが、バーチャルさんはみているの場合、アニメが終わって、エンドカードが表示された際にアンケートが表示される。ここまでは同じなのだが、「その後に」特番のスタジオに戻ってきて司会者とゲストがなんかコメントを言って実験放送で「番組が続く」のである。つまり、人が全然帰っていない中でのアンケートなのである。

 

  もちろん、作品自体のクオリティが低いのは確かなのだが、状況的に前後の特番目当てに来た人というのがいる以上、アニメ本編に低評価をつける人も残りやすい。「嫌なら見るな」というのが正論な以上、アンチがわざわざ時間使ってアンケートする可能性というのは低いのである。が、この番組は「嫌だが、前後の特番のために付き合っている人」というのがいるのである。これは割と重要な事のように思うのだがどうだろうか?

 

f:id:sudzuking:20190207174930p:plain

図2:視聴者の怒りを代弁するキリト

 

  前後でやっている特番の内容もどうなんだ?と思うところあって、「ドワンゴォ!」はネタとして面白いけど、お前んところのCMなわけで、しかも面白さはVTuberとは関係ないキリト(松岡禎丞)の面白さなわけで、そこで笑いを取るなと。つりっくまとかいう運ゲーVTuberや視聴者楽しんでるっぽいから許すものの、やっぱりドワンゴ開発なわけで、番組収録がバーチャルキャストなのも含めて手前味噌ばかり。 *7

 

f:id:sudzuking:20190207175848p:plain

図3:放送終了後に遊ぶ運営(おっさん)と視聴者

 

  視聴者を楽しませる姿勢はいいんだけれども、ラーメン屋の看板を出しておきながら、メニューはインスタントラーメンで済ませて、サイドメニューのカレーライスに異常なこだわりを見せているようなもので、普通の客はそりゃ怒るわ。*8

*1:「富士アオイ公園」はウケてたけど、これってバーチャルゴリラの存在がデカいというか、あれは出オチというか、演技が面白かろうが下手だろうが存在だけで面白いキャラなので、ちょっとズルいというか、そこを評価してもなぁと思う。

*2:そういう計算自体してないかもしれない

*3:ま、完全なキャラゲー

*4:少なくとも1997年の時点で

*5:ここら辺はにわかVファンなので、「いや、実写背景の動画あったよ」とかツッコまれそうだけど

*6:これについては別記事で述べる。

*7:地上波で毒をまきながら、解毒剤は自分のとこでのみ出すとか、狙ってやっているんだとしたら賢いけど嫌なやつすぎる。

*8:ただ、こんなんでも喜ぶようなやつがいるから続けられるんだろうけど。